ラオス農業

農業大国ラオスにおける問題点

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農業大国ラオスにおける問題点

ラオス国民のほとんどが農業従事者です。

陸稲または水稲による稲作を基本として、その他に伝統的に籐やシェラック作りも行われています。

また、野生動物の狩猟も行っており、織物、製糖及び製鉄にみられる農村工業も多く見られ、いわゆる自給的農業社会を基盤としています。

今までのラオスにおける農業形態

ラオスにおける農業は、GDPの16.3%を占めており、人口の7割近くが農業に従事しています。

ラオス人の食生活は、米(主食の米はもち米)がメインになっています。

灌漑化された水田面積は、農地の約10%に過ぎず、残りの90%は天水田ですが、水源に乏しく用水の確保ができないところから灌漑(かんがい)水の大部分を雨水、雪解け水などの天水に依存していることから、米の収穫高が不安定な状態です。

山岳地帯での陸稲は、焼畑農業が行われていますが、人口の増加や換金作物栽培の増加により、休閑期間が短縮され、土壌生産力が著しく低下する問題がでてきています。

土壌の劣化や農薬使用による家畜や住民の健康被害も起きているそうです。

ラオスにおける焼き畑農業

もともと焼畑は、草木を伐採し、火入れをして整地し、作物栽培を行う農業方法で、収穫後、植生が回復するまで十分な休閑期間を保てば、持続的な農法休閑期間を経て植生が回復すると、ふたたび作物栽培に利用されます。

しかし、焼畑は、森を伐採し、火を入れることから、環境破壊の原因とされ、ラオス政府は、「焼畑抑制」を政策目標に掲げてきたことにより、伝統的に行われてきた焼き畑農業に対して、政府からの風当たりが強くなってきています。

また、換金作物(現金に変換できる農作物)であるゴム、製紙用のユーカリやアカシヤ、アブラヤシなどの産業植林や、キャッサバ、サトウキビの生産が拡大してきており、換金作物栽培により、多くの現金収入を得るために、同一地で休閑期間を置かず、植生が回復していない森や土地に対して焼畑に使われており、自然の回復能力を越え、土壌劣化が広がってきています。

自給自足的の農業形態から、換金作物として生産されることが多い農産物に は、緑豆、大豆、ピーナッツ、タバコ、綿花、サトウキビ、コーヒー、お茶などがあります。

立ち遅れているラオス農業事業と関連した多くの問題

ラオス人の約70%が農業事業で働いているにもかかわらず、自給自足農業は依然として標準以下であり、従来の生産方法ではラオス市場の需要を満たすのに十分な生産量はなく、輸出に回す余剰分など、ない状態です。

多くの農家では、自分たちの家庭の食料要件を満たすことすら困難であり、子供たちの栄養失調が重大な問題になっています。

2019年3月、国の南部にあるサラワン州の保健局当局者からは、州の子供たちの発育阻害につながる栄養失調の割合が依然として高いとメディアに伝えられました。

有望な一次産品が現時点でコーヒーを除き特に無いことから稲作中心の生産形態をとっている。(米の収穫面積は、全作物収穫面積の約8割を占めています)

稲作をはじめとする農産物の生産地が地勢・水利の面からメコン平野部と南部のボロヴァン高原に集中しており、北部・東北部での農産物の自給度が極めて低いです。

灌漑化された水田面積は約10%に過ぎず、残りの90%は、天水田であり、米の収穫高が不安定です。

山岳地帯での陸稲は焼畑により行われており、焼畑から水田農業への転換をすすめるため新規開田の必要な状態です。

市場経済導入に向けて動き出した経済は、都市部において活性化の兆しがあるものの道路等社会インフラの整備が遅れているため市場との流通が悪く、ヴィエンチャン等いくつかの都市周辺を除き、地域完結型の生産・消費形態(自給自足)農業となっています。

農産物加工施設が少なく、流通組織が整備されていないので農産物の付加価値が低いです。

農産物の付加価値が低い理由は、交通のインフラが整っていないことから、運送時間はどうしても長くかかります。

そうすることにより、運搬中に発生する害虫やカビによって品質を悪くして商品価値を下げてしまいます。

その輸送に時間と日数がかかることから、収穫した農作物を害虫やカビを防ぐために、収穫(ハーベスト)された後(ポスト)に、収穫物である果物や穀物、野菜に散布する農薬が必要になってくることから、ポストハーベストのロスも大きいです。

また、栽培技術(品種改良・育種・施肥・病害虫防除等)も甚だしく遅れており、農業金融が未発達でもあります。

ラオス人の労働意欲

周辺諸国の労働者と比べて労働意欲が低い傾向にあります。

自給的農業社会が基本となっているからか、民族的な特性なのかはわかりませんが、ラオス人には仕事に関すする責任感は少ないように思われます。

ラオス人の性格

  • 「ボーペニャン(大丈夫)」全てこれで済ましてしまう傾向がる
  • 「マイペース」自分にとって、どれぐらい快適かが重要
  • 時間に寛容
  • 純粋

どことなくタイ人の「マイペンライ」に似ている感じがします。

ラオスにおける教育環境

ラオスは、義務教育である初等教育(小学校)は、日本の様な就学年齢の定めがなく、概ね6歳で小学校の第1学年に入学しています。

首都であるビエンチャン特別市をはじめとする都市部では、中学校、高校への入学率も高く、更に高等教育(大学、職業訓練専門校等)への進学も多く、教育環境はいいですが地方の教育環境は、かなり低い状態です。

このような問題が起こる原因は、教育予算が極めて少ないという点が挙げられます。

そのことにより、教科書の不足、適切な校舎の不足、教員の能力不足、不適切な教員配置、遠隔地の学校における教育の質の低さ、教育行政能力の不足等のことが起こっています。

初等教育においては、貧困、通学困難、保護者の学校教育に対する意識の低さに加え、少数民族の児童はラオス語を生活言語としないため、授業を受けるのが困難等の理由により、入学後に退学する児童が多いことも問題となっています。

働くことと教育には、接点がないように感じますが、自分達で、自分達の未来を考えるには、やはり「お金」が必要になってきます。

「お金」を稼ぐには、考える力が必要になります。

その考える力を養うには、教育が必要です。

考える力があれば、それだけ多くの選択肢を選ぶことができるようになります。

そのためには、子供のころからの教育が、とても大切だと思います。

表面的な技術提供だけでは、ラオスへの支援には、限界があります。

新たな農業形態に挑み始めているラオスにとっては、子供たちへの教育が必要になっています。

ラオスでの新たな農業形態

ラオスの国土面積は23万6800k㎡と日本の本州と同じ面積を有しますが、農作地の割合は5.4%と少なく、そのほとんどが森林や山岳が68.9%と占めていることから、農作には適さない土地柄です。

その反面、標高が 1,000m の高原に位置し、害虫も少なく、無農薬野菜の有機栽培が可能な恵まれた面もあります。

有機栽培による農作物の需要が、先進国を中心に年々増加していることから、今後も順調に推移する可能性が高いことから、ラオス政府は、付加価値化を目指し、オーガニック栽培等を推奨しています。

2000 年以降は、プランテーションへの投資が進み、キャッサバ、バナナ、サトウキビ、天然ゴム、コーヒー、アカシア、ユーカリ等の大規模な商業栽培が全国に広がり始めています。

ただし、これも今後どうなるかは分からない状態であることには変わりなく、ラオスにとっては険しい道のりが待ち構えているのが現状です。

ラオス土地利用権

農地と利用できる土地が極めて少ないラオスですが、ラオス人はどのような形で、自分たちの土地を管理、育成しているのでしょうか?

ここでは、簡単にラオスにおける土地の利用権について書いていきます。

社会主義政権ラオスでの土地利用権

ラオスにおける土地の所有権は、ラオス土地法(2003年)において、土地の管理、保護、使用について定められています。

土地法は、国土の管理責任は政府に帰属しているとされ、天然資源環境省土地管理局が監督しています。

ラオス国民は、利用権において売買可能な永代使用権が保証され、譲渡、相続も可能ですが、外国人や外国企業は土地利用権の取得は基本的に認められず、ラオス政府やラオス国民からのリースあるいはコンセッションの供与による土地の使用権のみを保有することができるとされています。

・政府からの賃借・利用承認:最長30年
・投資目的による政府からの賃借・利用承認:最長50年

土地利用権は、国への申請により土地証書が交付され、利用権が確定されます。

ラオスの不動産の詳細については、また違うページで紹介させてもらいます。

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