2020年におけるプーケットのコンドミニアム販売状況
今回のコロナ禍によって、外国人観光客がタイに訪れることが出来なくなり、観光立国であるタイの経済的損失はとても大きなものになっています。
それに伴い、外国人観光客が不動産投資目的や自分達の別荘用として購入していた不動産の販売数も激減しているようです。
実際のところは、どのような状況なのでしょうか?
ここに、イギリス系不動産総合コンサルティング会社 のナイトフランク (Knight Frank)のタイランドの副マネージング ディレクターであり、プーケット オペレーションの責任者を務めるナッタ カハパナ氏の調査記事がありましたので、ご紹介したいと思います。
原文は下の画像をクリックしていただくと、英語で書かれているPDFの調査記事を読むことができます。
Contents
2020年のおけるプーケットのコンドミニアム販売状況
プーケットでもコロナの影響により、新規のプロジェクトなどの計画は、次々と頓挫する形になっているようです。
プーケットの不動産事業は、外国人投資家の大きな関心を集めてきたことから、主に外国人観光客が主な顧客でした。
その理由はプーケットを訪れた際の自分達の滞在場所の確保。
さらには、利用していない時には、賃貸物件として観光客への貸し出しによる賃貸収入も得られることがあげられます。
近年では、タイ人の投資家達にもプーケットでの不動産投資に注目を集めることになってきています。
プーケットで立ち上げられた多くのコンドミニアムプロジェクトが、レンタルリターンを重視するタイプであり、それらプロジェクトの運営は、主に有名ホテルブランドが集客、管理を行っており観光客からの満足度もよく、プロジェクト自体の評判を高めています。
それらは、3年から5年の期間で、オーナーに対しての家賃保証を提供し、賃貸収入を得ることに加えて、オーナー特権として、年間30日から45日の滞在も可能になっています。
それら家賃保証の仕組みが、プーケットでの投資用のコンドミニアムを購入し、効率的に賃貸利を得ることができる魅力的な場所になっていました。
しかし、コロナ禍により、観光客の数が大幅に減少し、観光業に大きく依存していたプーケットの経済は、大打撃を受けることになったとナッタ氏は語っています。
コロナの感染拡大の影響により、外国人観光客が減った分、タイ人観光客が続々とプーケットに訪れましたが、島の経済を復活させるには十分ではありませんでした。
外国人観光客の減少により、プーケットの不動産部門は直接的な影響を受けていると述べています。
しかし、不動産販売事業者は、状況が通常に戻れば、多くの観光客や投資家がコンドミニアムの需要を刺激し続けると考えています。
プーケットでの新築コンドミニアムの減少
それでは、具体的な数字で見るとどのような感じだったのでしょうか?
コロナ禍で、大打撃を受けたプーケット経済ですが、数は少ないものの、新築のコンドミニアムは販売されていました。
販売事業者の思惑は、ワクチンの接種等により、ある程度沈静化した状況になり、観光業が通常に戻った時に、多くの観光客や投資家がコンドミニアムの需要を刺激し続けると考えているようです。
Knight Frank Thailand の調査結果によると、2020 年末の時点で、プーケットのコンドミニアムの総戸数は、26,0962戸数あります。
そして、2020年に販売された新しいコンドミニアムのプロジェクトは、7プロジェクトで、販売戸数は1,862 戸でした。
2019年には、新規コンドミニアム販売戸数が5,471戸数だったことから、2019年から約65.97%も減少しており、コロナの影響が強く出ています。
2020年の新築コンドミニアム販売戸数は、2016年以前に販売されていた戸数(1,700~2,000戸数)とほぼ同じ状態になってしまっています。
プーケットのコンドミニアム販売数
2019年には、販売成約戸数が4,036戸数もありましたが、2020年の販売成約戸数はわずか1,966戸数でした。
2020年時点で、プーケットでのコンドミニアム供給数26,096部屋の内、19,761部屋が成約済となり全体の75.7%が成約済となっています。
2019年は、全体の73.4%が成約済で、数字的には、成約率が2.3%上がっていますが、これは2020年の新規供給数が少なかったためです。
残り約 6,335 ユニットが未成約のままです。
プーケットでの新築コンドミニアムの相次ぐ建設中止や延期している背景
2019年時には、新しく立ち上げられたコンドミニアムの戸数は5,471戸数もありましたが、2020 年にはわずか 1,862 戸だけとなり、約65.97% 減少しており、コロナの影響が強くでています。
これは、大型プロジェクトを遂行していく上で、欠かせない銀行からの融資が受けにくく、銀行サイドからすると、コロナによる観光客の減少に伴い、不動産販売の状況を考慮すると、どうしても貸付に厳しい対応をする必要があったようです。
このような状況から、デベロッパーは新しいプロジェクトの立ち上げを遅らせ、新プロジェクトの立ち上げを一時停止した状態になり、新築コンドミニアムの建設が少なくなったようです。
2020年の新築コンドミニアム建設地割合
そのような状況で、プーケットのどのエリアにコンドミニアムの建設が集中しているのでしょうか?
コンドミニアムのほとんどがラヤンで、全体の59%を占めており、次にパトンとナイトン ビーチのエリアがそれぞれ 22% と13%と続く形になっています。
マイカオビーチエリアは、新築コンドミニアムの数が最も少なく、総供給量のわずか6%でした。
プーケットの北部にあるマイカオは、他のビーチに比べて設備が整っていないため、まだあまり人気がありません。
その結果、マイカオにはかなりの土地が利用可能な状態です。
プーケットのコンドミニアムの販売価格の値下げ
2019年の海の見えるオーシャンビューのコンドミニアムの平均販売価格は1平方メートルあたり193,590バーツでした。
2020年末時点の海の見えるコンドミニアムの平均販売価格は、1平方メートルあたり192,758バーツで、販売価格は2019年より0.4%下落しています。
パーシャルオーシャンビューのコンドミニアムの販売価格は、2019年が平均価格が1平方メートルあたり107,000バーツでしたが、2020年の平均販売価格は1平方メートル99,745バーツで、2019年に比べて6.8%の下落となっています。
シティビューやマウンテンビューなどの海が見えないコンドミニアムの2019年の平均価格は1平方メートルあたりB79,300で、2020年の1平方メートルあたりB76,184で、3.9%下落していました。
これも、コロナの影響により、プーケットに訪れる外国人観光客が減少したことにより、販売業者が販売価格を下げざる負えないことになっています。
プーケットでの不動産投資家の多様化
少し前までは、コンドミニアムの購入者のほぼ100%が外国人観光客と投資家でした。
しかし、最近では、プーケットのコンドミニアムの購入者のグループはより多様になっています。
バイヤーの約90% は依然として外国人ですが、約10% は不動産への投資経路を見たタイの投資家になってきています。
プーケットでコンドミニアムを購入する外国人のほとんどは、ロシア人、中国人、香港居住者、シンガポール人です。
他の国籍には、イギリス人、フランス人、ドイツ人、カナダ人、オーストラリア人、ニュージーランド人、アメリカ人、ヨーロッパ人、その他の東南アジアの人達です。
プーケットにおける2020年以後の不動産業界の見通し
Nattha(ナッタ カハパナ) 氏は、2021 年のプーケットのコンドミニアム市場は、コロナのために引き続き減速し、まだまだ大きな打撃を受けるだろと予想しています。
外国人観光客はまだ、プーケットに旅行へは行けず、経済は改善されることなく、島の主な収入源である観光客からの収入は望めないと考えています。
不動産事業者は、2021年前半ではまだ、プロジェクトの立ち上げを敢行することなく、2020年の下半期から、徐々にプロジェクトを立ち上げていく予定です。
投資の傾向は、小規模なプロジェクト及びプーケットの地元の投資家との合弁事業に向かう可能性があります。
すべての外国人観光客の50%にまで回復するのに6か月から1 年はかかり、2022年の初めごろまでは、プーケット経済の低迷が続くと予想されます。
主な買い手は、中国人とロシア人であると予想されます。
ヨーロッパからの旅行者は、コロナがもう少し落ち着くまで時間がかかるかもしれません。
今後、外国人がプーケットで不動産を購入することは、タイが安全で住みやすい都市であり、優れた医療ケアと疫病管理が行われているため、投資ではなく第二の我が家としての役割を果たすことも、不動産購入の一因になるでしょう。
タイ人の投資家に関して言えば、今後の外国人旅行客の動向を見守っている状況です。
最後に、Nattha(ナッタ カハパナ) 氏の報告書は、「全体として、プーケットの不動産は、外国人観光客の帰国に続いて、2022年以降成長を取り戻すでしょう。」と締めくくっています。
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