
タイの宗教観
植民地支配を受けていないタイ
タイは、東南アジアで唯一植民地支配を受けていない国です。植民地支配を免れた理由と歴史については割愛しますが、そのおかげで長い王朝の歴史を有しています。
東西交易の拠点として発展しインドや中国からの文化の影響を受け独自の文化を作り上げてきました。
インドからは、仏教や王制、官僚制度、文学といった宗教・思想・政治に関する文化。中国からは、陶磁器や絹布の技術、食文化といった生活に関わる文化の影響を受け、それらの文化とタイにあった生活様式や精霊信仰(アニミズム)の文化が融合し、現代のタイ文化を作り上げる基礎になっています。
タイ国民の9割以上が敬虔な仏教徒
タイでは約9割のタイ人が仏教徒で、その他にイスラム教、キリスト教、ヒンズー教などの信者さんがいます。
タイ仏教の教えとしては、「上座部仏教(旧小乗仏教)」が基本になっています。すなわち、出家して、厳しい修行に耐えた者だけが悟りを開けることが出来て、救われるという教えが根本にあります。
男子は1度は出家して、修行を積むことが一人前のタイ人男性と見られる風潮があり、出家して、修行を積むことにより、その家族にも、功徳をもたらしてくれると考えられています。
昔は3ヶ月から6ヶ月の出家が一般的でしたが、最近の風潮では、1,2週間ということもあるそうです。
日本で行われている出家と違うのは、タイの出家は「1人前になるための通過儀礼のひとつ」であることですので、いつでも「俗世」に戻れます。
出家が許されない女性などのは、托鉢に訪れた僧侶に対して、食べ物、薬やお金などを寄与することにより「徳を積む」と考えられ、これらはタムブンと言って、上座部仏教では根本的な行いと説かれています。
タンブン(功徳を積む)
「タンブン」とは善行を積み重ねる行為。「徳を積む」という意味になります。
これは、熱心な仏教徒であるタイ人は輪廻転生を信じており、タンブンをすればするほど来世では幸せな生まれ変わりができると信じられていますので、タイ人は進んでお寺に寄進したりします。
最大のタンブンは僧侶として出家することです。
他に以下のような、タンブンがあります。
- お寺に寄付する
- 僧侶に托鉢する
- 出家する
- 息子を出家させる
- 小鳥や金魚を逃してやる
- 五戒を守る(殺生をしない、盗まない、犯さない、嘘を付かない、酒を飲まない)
精霊信仰がある
よく、お店や一般家庭の庭先などで、で小さな祠のようなものをよく見かけます。これは土地の神様を祀る「サーン・プラプーム」と呼ばれるものです。
古来より、タイでは、森林や巨樹、土地、家屋など至るところに精霊(ピーまたはチャオ)が住んでいて、供養をすればそれらによる庇護を、対して悪い行いには罰を受けると考える精霊信仰が広まっています。
そして、現在のような祠や細かい決まりごとは、ヒンドゥー教の影響を強く受けています。
タイでの仏暦年号
そんな宗教観のあるタイでは、「西暦」ではなく「仏暦」を使われていますので、タイでチケットなどを購入して発行日付を見てみると、「アレ?」ということもあります。
上のチケットの日付を見ると、「02/03/2561」と印字されています。これが仏暦になります。実際には西暦2018年3月2日となります。
計算方法としては、簡単です。
西暦に「543」足すか引けばいいのです。
西暦2018年を仏暦にする場合には、2018(年)+543=2561年(仏暦)
仏暦2561年を西暦にする場合には、2561(年)-543=2018年(西暦)
となります。
このように、タイでは仏教の教えが隅々まで行き渡っています。
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