タイはメディカルツーリズムの大国
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メディカルツーリズム
「メディカルツーリズム(Medical Tourism)」または「医療観光」という言葉をご存知でしょうか?
メディカルツーリズムとは、居住国とは異なる国や地域を訪ねて医療サービスを受けることです。
タイでは、バンコクにある大規模私立病院が、外国人向けの診察を積極的に受け入れており、英語・日本語・中国語・アラビア語などで診察を受けられることができます。
また、日本のように国民皆保険(ユニバーサルヘルスケア)が充実していない国から費用が掛かる手術を受ける目的で渡航することもあるほどの医療技術が進んでいるタイです。
医療保険が適用されないレーシック、ダイエット、性別適合手術なども、他国よりも安価で受けることはできるのがタイです。
タイの国策としてのメディカルツーリズム
タイでは2002年から国策としてメディカルツーリズムに力を入れたことにより、患者の誘致を始め中東や欧州から多くの患者を獲得することに成功しています。
タイで、メディカルツーリズムを受ける理由として、以下の理由が挙げられています。
- 東南アジアでもっとも優れた高度な医療を受けることができる
- 自国の医療費よりも安価に医療を受けることができる
- ホテル並みの医療施設での治療を受けることがきる
等の理由から、タイでのメディカルツーリズムに人気があります。
メディカルツーリズムは、一般の旅行者に比べて観光消費額が高いことから、タイの国策として推し進められています。
JCI認証数は、タイの病院が東南アジアで最多の病院数。
JCI承認数は、タイの病院が東南アジアで最多の病院数
JCI(国際医療施設認定合同機構)とは?
JCI(国際医療施設認定合同機構)とは、米国の医療分野における「医療の質と患者の安全に関する継続的な改善」に関する第三者評価認証機関であるThe Joint Commissionの国際部門として、1994年に設立された非営利組織Joint Commission Internationalの略称で、50年以上もアメリカの医療組織と医療プログラムを認定している国際合同委員会です。
近年ではアメリカの90%以上の病院が認定を受けています。JCIの使命は「教育とコンサルテーションサービス、国際的認定の規定を通して国際社会において医療の安全と品質を改善し続けること。」です。
WHO(世界保健機関)に承認されているJCI認定のプロセスは、医療組織の品質システム、プロセス、そして結果を厳密に検査します。これは自発的なプロセスで、その組織は3年ごとに認定の更新を受けなければなりません。
タイの病院でのJCI(国際医療施設認定合同機構)数
順位 | 国名 | 承認病院数 |
1 | アラブ首長国連邦 | 143 |
2 | サウジアラビア | 101 |
3 | 中国 | 59 |
4 | タイ | 52 |
5 | ブラジル | 51 |
6 | トルコ | 48 |
7 | アイルランド | 29 |
8 | インド | 28 |
9 | 韓国 | 27 |
10 | イタリア | 25 |
11 | スペイン | 24 |
12 | シンガポール | 22 |
13 | インドネシア | 22 |
14 | イスラエル | 21 |
15 | 日本 | 18 |
(ソース:JCI(国際医療施設認定合同機構)国別認定施設数)
JCI(国際医療施設認定合同機構)認定数は、タイは世界で4番目に多く病院の認定を受けています。
因みに日本は世界で15番目に位置しています。
メディカルツーリズムの大国となっていくタイ
タイ国政府観光庁(TAT)は、タイに訪れる観光客は2019年では40万人以上になると見込んでおり、2018年から少なくとも10%の収益増加となり、観光収入は3兆4,000億バーツに達すると予想しています。
さらに、タイ国政府観光庁(TAT)は、ドバイや中東地域から医療目的で多くの観光客が訪れていると報告しており、医療目的でタイに訪れる観光客は年間300万人以上に達すると報告しています。
現在、メディカルツーリズムインデックスで世界第18位にランクされているタイは、2017年から2020年の間に医療サービスの需要が16%増加することを見込んでいます。
治療のためにタイにやってくる観光客や外国人居住者の数が増えているため、タイ政府はさらに外国人に対する医療の拡大を図っています。
世界的な医療の中心地になるという政府の戦略的見地から、ビザの制限緩和とスマートビザ作成が施行されています。
カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム、中国人の人達に、今までの滞在期間の30日から最長で90日間までのビザを延長することが可能になり、治療の選択肢を増やし、質の高い最新の医療技術を提供することによって、さらに医療を目的とした観光客の集客を見込んでいます。
また、日本やデンマーク、ドイツ、フィンランド、フランス、イタリア、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、スイスなどヨーロッパ諸国からの良質な顧客を集めるためにも、長期滞在ビザの発行を行い医療観光客の獲得に努めています。
また、高齢者の受け入れを積極的に行い、高齢者や介護付きの生活施設の運営により、タイのメディカルツーリズムをさらに推進する上で重要な役割を果たすと考えています。
医療患者のためのビザ延長のほかに、2018年2月にタイは非常に熟練した専門家を引き付けることを目的としたスマートビザを提供し始めました。
スマートビザは、「裕福な医療、ウェルネスツーリズム」など、12のカテゴリーに属するプロフェッショナルが利用できます。ビザの目的は、才能、投資家、役員、新興企業を国内に引き付けることです。
ビザ自体は、外国人が労働許可を必要とせず、国内で最大4年間自由に働くことができ、20歳までの扶養家族および配偶者もスマートビザ保有者に加わることができます。
(ソース :consultancy.asia “Government to push Thailand as premier medical tourism centre” Staying in Thailland 翻訳・要約)
タイの大手民間医療株が急拡大中
バンコク・ドゥシット・メディカル・サービス
バンコク・ドゥシット・メディカル・サービス(BDMS)は、タイ最大の民間病院運営会社です。
首都バンコクを中心に29箇所の病院と、カンボジアにも病院(ロイヤルアンコール国際病院)運営しています。
世界の病院での時価総額ランキングでもアメリカ、ドイツ、マレーシアに続き、タイのバンコク・ドゥシット・メディカル・サービスは、世界第5位の大企業になっています。
総ベッド数も5300床以上あり、欧米や日本などに留学経験のある質の高い医師が多いため、医療技術にも専門性が高いのが特徴です。
看護師にも教育に力を入れ、英語を話せる人材を揃えています。
現地住民だけでなく、欧米からの観光客も多く利用し、診療収入の約27%を占めています。2015年にはミャンマーにも進出を計画し、さらに事業拡大を進めている有望企業です。
タイでは、医療も立派なビジネスとして考えられ、病院に投資するのも一般的です。
そのバンコク・ドゥシット・メディカル・サービシズは年初来の株価急伸で、今では時価総額が新興国市場で業界最大となっています。
同社の株価は今年に入り29%上昇。タイの人口高齢化に伴う需要増加と外国から患者を受け入れるメディカルツーリズム(医療観光)の拡大が追い風となった。その結果、時価総額は130億ドル(約1兆4500億円)と、マレーシアのIHHヘルスケアを超え、新興国で業界トップになりました。
もうひとつのメディカルツーリズム「ウェルネスツーリズム」
ウェルネスツーリズムとは、医療行為とは別で、旅先でスパ、ヨガ、瞑想、フィットネス、ヘルシー食などから、体を健康にしいくものです。
Global Spa & Wellness Summit(2013)によると、現在世界中で行われているウェルネスツーリズムのほぼ半数(47%)はスパツーリズムであるという統計を出しています。
ウェルネスツーリズムの多くはスパツーリズムであり、海外では同義語として使われるケースが多くみられます。
ウェルネスツーリズムの起源のひとつには、紀元前にあった温泉入浴(スパ)、郊外に展開した公衆浴場への旅に遡ることができます。日本の湯治も「ウェルネスツーリズム」と同じ意味合いがあります。
最近では、実際にウェルネスツーリズムをメインにしている旅行ツアーでは、食、運動、保養、温泉、スパ(SPA)、スポーツ、レクリエーションや文化的活動から西洋医療の一部に至るまで様々なオプションを加わるようになっています。
「ウェルネスツーリズム」は、一般的に医療ではない健康関連のサービスとみなされており、それ自体は医師や看護師ではない人々によって提供されており場合が多いです。
健康志向の高い人々が、メディカルツーリズムではなく、ウェルネスツーリズムが目的でタイを訪れ、肉体的、精神的、栄養的、感情的、さらには精神的にも自分自身を向上させる目的でタイに訪れています。
それを後押しするように、タイでは以下のような、ウェルネスツーリズム的な活動を推進していき、旅行者の獲得にも努めています。
- 食事
- ハーブ学
- フィットネス
- 個別化予防ケア
- タイの伝統医学
- 温泉
- 瞑想
- ヨガ
- 美容とアンチエイジング治療
長寿で健康的なライフスタイルを送るためには、病気を患ってから受ける医療だけではなく、事前に病気の予防が大切であることが分かってきています。
社会で生活していくことは、色々なストレスを避けて通ることはできない現実があります。
それらを理解している人々は、病院や診療所で過ごす時間を極力少なくすることに努め、保養施設(温泉、スパ等々)やホテルで過ごす時間を増やそうとしているのも追い風になって、タイに訪れる観光客は増加しています。
リゾート地ホヒアンにある「チバソム」
タイのリゾート地ホアヒンにある「チバソム」は、ワールドベスト・ディスティネーションスパの受賞をはじめ、世界のスパアワードの受賞歴は数えきれません。
「チバソム」は、“安寧の隠れ家”を意味し、その名に恥じないウェルネス・ディスティネーションとなっています。
「チバソム」では、東洋の自然療法と西洋の現代医学を掛け融合させた独自のヘルスケアによって、各個人に合わせた最良の癒しプログラムを提供することによって、心や精神はもちろんのこと体も癒してくれるリゾート作りになっています。
BDMSウェルネスクリニック
上記にも紹介した、バンコク・ドゥシット・メディカル・サービス(BDMS)は、健康で長生きするための診断サービスを提供する予防医療センターとしてBDMSウェルネスクリニックはを運営しています。
BDMSウェルネスクリニックは、タイの最新の再生医療および予防医学を中心に、病気を予防し、長く健康な生活を促進するためのサービスを提供しています。
BDMSウェルネスクリニックは、約31,000平方メートルの総面積を有する12階建ての施設で、以下の医療サービスを行っています。
- 再生クリニック
- 神経科学クリニック
- 筋骨格およびスポーツクリニック
- 心臓クリニック
- 消化器ウェルネスクリニック
- 歯科クリニック
- ブレストクリニック
- 不妊治療クリニック
などの医療サービスを受けることができます。
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